マクドナルドは何を売っているのか?


マクドナルドは一体何を商品としていて、何を社会に売っているのでしょうか。

もちろん「ハンバーガーでしょ?」と思うのではないですか?
「いやいや、ポテトとドリンクだよ」と考える人もいるかもしれませんね。

しかし、マクドナルドのビジネスを読み解いてみたとき、彼らが本当に販売している商品や、どんな価値を社会に提供し、儲けているのかがみえてきます。

今回は、マクドナルドが一体何を売っているのか、確認していきましょう。

そもそも不動産屋である

ビジネスの世界では、「マクドナルドは不動産屋である」とまことしやかに語られます。
それはなぜでしょうか。

マクドナルドの店舗は、あちこちの都市や町にありますが、立地がバツグンで、非常に便利なところに位置していることに気づきます。

そうなんです。
マクドナルドは、世界的大企業の資金力を背景に、町のとても良い場所を買い取ります。
そして店舗を建てて、地元の人達をマクドナルドの顧客になってもらうよう狙います。

しかし、ただそれだけではありません。
マクドナルドはその土地を担保に銀行から新たなる融資を取り付け、次の店舗を建てるための資金を引き出すのです。
つまり、ある種の操業サイクルがまわっており、一等地を使って店舗を建て、そこを担保に新しい融資を受け、そしてまたつぎの一等地を探すという無限の出店計画を建てているのです。

もちろん、不況が訪れるとこのサイクルが崩れ、同時に不採算店舗が一気に閉店となることはあります。
マクドナルドぐらいの世界的企業でも、不況は避けられません。
最近は好景気が続いていますので、国内のマクドナルドでは出店攻勢が相次いでいます。

そして不採算店舗を閉じて資金繰りを円滑にし、同時にまた良い土地を求めて、出店してまわります。
こうしたフロンティアスピリッツとでもいうのでしょうか、強い攻めの姿勢が、グローバル企業ならではということができます。

少しの罪悪感

さらにマクドナルドは一体何を売っているのか?という話の続きです。

マクドナルドは商品として少しの罪悪感・背徳感を売っています。
たとえば、小さい子供を持つ親御さんは、いつも手作りご飯を作っていても、例外的に「今日だけはマクドナルドだよ。特別にね」ということはあるのではないでしょうか。

また、ダイエットをしている人、そうでない人も、現代人はみなカロリーを気にしています。
そこで「今日だけは、ご褒美に」といったかたちでマクドナルドを美味しく頬張るということはしばしばあることでしょう。私などはつねにそうです。
ちょっとの罪悪感・ちょっとの背徳感を売っているのです。

このビジネス解釈については賛否あるでしょう。
しかし、私たちを「悪いことしたけど、楽しかったな」という子供の頃の気持ちに戻してくれるという側面は否めません。
毎日マクドナルドを食べていたらそれは健康上の問題が生じるでしょうが、いつも美味しいご飯を食べている日本の私たちにとって、生活のなかで、行儀よくふるまうだけではなく、ちょっとの逸脱を許してくれるのです。
それって、とっても魅力的なことですよね。

物流のハック

そして、マクドナルドにはシビアなビジネスを生き抜く世界的戦略もあります。
数多くの戦略がありますが、そのうちのひとつに、彼らは独自のポテトを開発しているということ。

マクドナルドのポテトで使われているじゃがいもは、品種改良が重ねられ、水に浮くようになっています。
何度も何度も研究し、水に浮いたじゃがいもを使い、次のポテトを生産・開発しているのです。
では、それが何の意味を持つのでしょうか。

世界中で食べられるマクドナルドのポテトは、他の地域から船に乗って運ばれてきます。
船荷のコストは重さで決まります。
重さで決まるがゆえに、軽いじゃがいもでポテトフライのベースを作ることで、輸送コストがかなりの削減になるのです。

つまり、彼らは物流をハックしているのです。
ハックというと語弊があるのでしたら、全体最適化のための個別最適化です。
海運の物流というシステムを上手に活かしながら、コストを削減して利益を大きく上げているのがマクドナルドの特徴です。

消費者のインサイトは肉

マクドナルドの興味深い話はまだまだあります。

彼らは最近業績が回復したことをご存知ではないでしょうか。それは、「肉食べたい」という原点に回帰したからです。
とにかく消費者は美味しく、安く、たくさん肉が食べたいと。
これはある種のインサイト(本音)です。実際、みなさんも、「お肉が食べたいな」と思うのではないでしょうか。私だって食べたいです。

最近のパティがたくさん積み上げられたマクドナルドの商品開発は、このインサイトをみごとにとらえています。
マクドナルドは長年運営されていますから、数々の失敗も重ねてきました。たとえば、20年ほど前は、マクドナルドはハンバーガーを59円で販売していました。消費者にとっては非常にありがたかったものの、その後値段をコロコロ変え、客離れを招いて大きく業績が落ち込んだのです。

消費者つまり私たちがマクドナルドに求めているものは、「たくさんのパティ」であると。そこを見事についたからこそ、いまは業績が回復しているものだと考えられます。

まとめ

マクドナルドは何を売っているのか?というテーマでお届けしました。
マクドナルドのビジネスに、多面的な光を当ててみると、不動産屋であり、罪悪感を売っており、物流に最適化しており、インサイトをとらえていることがわかります。

こうしたことから、学びは多いのではないでしょうか。
自分が仕事をする上で、「私は何を売っているのだろう?」と、ちょっぴり考えてみると、意外な発見があるかもしれません。
そしてマクドナルドから学んで、たとえば自分が、最近流行りのスキルシェアサービスのひとつであるココナラを利用していたら、ココナラに最適化したビジネスを展開するなどが考えられます。

まだまだマクドナルドのビジネスの別の側面はあるかもしれません。ぜひぜひ、今度マクドナルドにいったとき「何を売っているんだろう?」と考えてみてください。きっと食べるのが楽しくなり、一緒にいった人と会話がはずむと思いますよ。