「人生を変えたい、自分こそは何者かになれるはず。そうは思うけれど、何をしたらいいかわからないし、どうやって人生を変えるのかもわからない…。」
そんなあなたに、今日は人生を変えてくれる3つの力を紹介し、それぞれその正体と、どうやって身につけていくのか、確認していきます。
集中力の正体は、無視する力
まず、仕事でも勉強でも、一定の成果を出すことで人生を変えるパワーになってくれます。そして成果を出していくのに、誰しもが必要だと考えるのが集中力です。目の前の課題に取り組むこと。集中力がとても大切だということは、学生時代や社会人生活を通じて、嫌というほど実感するのではないでしょうか。
では、集中力の正体とは何でしょうか。それは「無視する力」と言い換えられます。
たとえば、何かドキュメントを書こうとするとき、「文章が下手だな」「こんなことを書いたら、笑われてしまうのでは」という内なる声が湧き上がってくることはありませんか? そんなとき、その声を無視する力も、この集中力が関係しています。
心に湧き上がってくる内なる編集者の声。それを無視する力が大切です。外部からの刺激と内部からの、自分の心に浮かんでくる刺激。心の声をも無視して、「そんなことをして何の意味があるの?」という批判的な声を振り払って、目の前の課題だけに取り組むこと。これもある種の集中力です。
外部からの刺激だけでなく、内なる声や誘惑も切り捨てていく力が、とても大切な力となって、人生を前に進めてくれます。
自己管理能力の正体は、やめる力
そして、自己管理能力も人生を変えるのにとても大切な力です。その正体は「やめる力」と言い換えることができます。悪習・悪癖を断ち切り、たとえそれが長年染み付いた自分の習慣であっても、強制的に終わらせる力。それが自己管理能力です。
たとえば、忙しくても徹夜はしないと心に決める。どんなに遅くても、21時には仕事を無理やり終わらせ、やるなら翌朝にするなどです。何事にも区切りを持たせないと、あと少し、もうちょっとだけ、という気持ちが働いてしまい、いつまでも終わらず、結果としてセルフコントロールを喪失してしまいます。
私自身も、21時には仕事を終えています。忙しい日はありますが、コンディションを整える方が優先なので、18時頃になったらもう寝ることを考えつつ生活しています。そして朝は早く起きて、生活管理です。
ウエイトコントロール、すなわちダイエットも同じかもしれません。ダラダラと食べ続けているポテトチップ。なくなるまで食べていては、それは体重を人任せにしているのと同じです。自分の意思で、今日はここまでとやめる力を意識してみてはいかがでしょうか。
好きになる力の正体は「問いかける力」
さらに、人生を変えていくには、1日のうちの大半を過ごす仕事との付き合い方を変えていく必要があります。今や「好きを仕事に」の時代ですが、好きなことを仕事にする前に、仕事を好きになる努力が必要です。その正体は、自分がしていることを大切に思う力であり、同時に「問いかける力」だといえます。
私はなぜこれが好きなの?
心は一体、何を求めているの?
このビジネスを通じて世の中に何を提供しているの?
そんなふうに、自分の心と、自分と外界の接点を科学的に問いかけていくことで、自己理解と他者理解が同時に実現できるのではないでしょうか。
いまテレビもインターネットも、「ちょっと好きを大切にしよう」というような言説にあふれています。しかし、少しの好きを積み重ねていっても、部屋が散らかるだけだった、という経験はないでしょうか。少しの好きは無視して、大好きや大大大大好きを大切にしていきましょう。そして心に問いかけること、自分を知ることから、人生の変化はやってくると考えます。
トルゥー・バット・ユースレスなアドバイス達
この記事は、人生を本格的に変えるための力をご紹介しています。インターネットで「人生を変える」と検索すると、「環境を変えましょう」「人間関係を変えましょう」というアドバイスが数多くヒットします。
これらはどれも、『トルゥー・バット・ユースレス(真実だが役に立たない)』だと考えられます。人生を変えようと思っても、実は転職アフィリエイトが仕込まれていたり、中にはマッチングサイトに誘導されたりと、希望していないものやサービスを売り込まれてしまうこともあります。
しかし、人生を本当に変えたいと思ったら、心の中を変えるのが一番です。そのための「無視する力」であり、「やめる力」であり、「問いかける力」で、結局内側の問題を解決しないことには、外部環境をいくら変えても同じ問題が出てくると考えられます。
『ブライト・スポット』を探す
それでも人生が変わらないなら。
前半は筆者の私見でしたが、他にも変える力がありますのでそれをご紹介します。ハース兄弟が書いた『スイッチ!』(チップ・ハース&ダン・ハース 著)では、『ブライト・スポット』を探すことが推奨されています。
たとえば、同書では1990年代のベトナムの話が紹介されています。当時のベトナムの田舎では、栄養失調状態の子供が多く、それを解決するためにあらゆる研究チームが限られた予算で試行錯誤していました。ベトナムの貧しい田舎の栄養問題をどうやって解決したと思いますか? 栄養が行き渡っていない村の子供たちのうち、経済力がなく母親の栄養状態が悪いのに、健康な子供がいることを突き止めたのです。
そして、その子供の栄養を調査していると、「食事の回数が、健康でない子供は1日2回、健康な子供は1日4回の食事を摂っていた」ということを発見しました。これがまさに『ブライト・スポット』であり、貧しいベトナムの村で与えられる総カロリーは同じでも、食事回数を増やすことで、健康を手に入れているとわかったのです。それなら、あとはそのブライト・スポットをみなに適用するだけでよく、村の子供の栄養問題は解決しました。
当時のベトナムにあった、公衆衛生の乏しさ、貧困、水の問題、そして栄養への無知。栄養問題対策チームは、それらを知識としては知っていたでしょう。しかしまさにこれこそがトゥルー・バット・ユースレスの典型であり、問題は仕組み、教育、環境ではなかったのです。
人生の問題は考古学では解決しない
何か困難に突き当たっているとき。また心が弱っているとき。カウセリングを受けると、心の傷をえぐることになり、傷ついて終わるケースが多いので注意が必要です。特に、ユング・フロイト式の心理学では、長い時間とお金をかけて「母親が悪い」という結論にたどり着きがちです。
しかし、大切なのは心の考古学ではないと考えます。目の前の課題を解決するとき、小さな変化に着目すること。たとえばパートナーとの関係がうまくいかないとき、「何も問題が起こっていない日にあった、小さな変化は何?」と自分に問いかけてみます。仲の良い日はどんな日だったのか、今日は気分が良いなと思った最初の兆候はなんだったのか、そんな小さな変化を見落とさず、自分の心の中のブライト・スポットを探していきます。
まとめ
人生を変えるには、実は心の問題がとても大きいこと。そして、人生が変わらなければ、環境を変える前に、まずブライト・スポットを探してみること。これなら、できそうな気がしてきませんか。人生を変える力を身につけて、強く成長しましょう!
参考文献
「スイッチ!」 チップ・ハース、ダン・ハース 著