20代で失敗したくないお金のこと
失敗が人を成長させるーーという面もありますが、お金の失敗はできるだけ避けたいもの。
少額ならいくらでも取り返せますが、高額であればあるほど、将来に渡って自分を苦しめることもあるからです。
私自身、若い頃に無計画に組んだ「ローン」と、自己投資という名の「様々な勧誘」でお金の失敗をたくさんしてきました。
そして、お給料前の通帳の残高がいつも数百円という状態に胃を痛めていたのに、お給料が入ってくれば、あればあるだけ使ってしまうというお粗末なお金の管理をしていました。
これらを激しく後悔したのが、30代になってから。
その反動で、今ではファイナンシャルプランナーと整理収納アドバイザーの資格を取得し、本を出版させて頂けるまでになりました。
20代~30代でのお金への取り組みが、数年後、数十年後の自分を救います。
お金の対策といっても、投資や個人年金、積立保険など、難しそうなものを実践する必要はありません。
ただ少しだけ「お金の使い方」について、「自分なりの視点」を持っておくといいですよ、というお話です。
以下、私の失敗談を事例として、少しご説明をしていきます。
金利のことを知っておく
高額な買い物をする時に利用することも多いローンですが、その金利について計算してみたことはあるでしょうか。
もちろん、ローンを利用するなと言うお話しではありません。
住宅ローンや車のローンなど、生活に必要だけど高額なものには、どうしても使わなければいけないこともあるでしょう。
そのためにも、きちんと知っておきたいのが、「金利」のこと。
金利とは、貸しているお金に対してかかる利子の割合のことです。お金を借りたときには、金利に応じた利子を上乗せして支払う必要があります。現金で支払えば、そもそも支払う必要のないお金です。
わたしは、金利についてあまりにも無知でした。
20歳になり、車を購入することにしたので全額ローンを組んだのですが、まだ信用も低かったため、借りることができたのは信販系のローンのみ。一般的に、信販系のローンは金利が高めです。そのときの正確な金利は、気にしていなかったのでよく覚えていません。
ここで、1つ、例を出してみます。
200万円の自動車を購入する
たとえば、200万円の自動車を金利3%で3年ローンを組んだ場合、支払い額はいくらになるでしょうか。
この場合、月々の支払い額は約58,100円になります。これは負担が大きい。
では次に、上の例のまま、5年ローンで計算した場合、月々の支払いは約36,000円まで減らせます。
これなら支払えなくもないな、と思えてしまうかもしれません。
しかし、金利を知ると考えが変わってきます。
ここから、総額を考えてみましょう。
5年間で支払う場合、35,000円×60ヶ月、返済総額は216万円。
3年間で支払う場合、58,100円×36ヶ月、返済総額は209万1,600円。
金利は、期間が長ければ長いほど大きな金額になります。
2年間の差は、7万円の差に。
この7万円を、あなたはどう感じたでしょうか。
お金を貸す側は、少しでも長く貸しておくことでより多くの収益が期待できます。
実際、月々の返済額を減らすプランも提案されますが、期間を長く設定して負担を軽く見せている場合もあります。
お金を貸す側のカラクリを知る
ローンを利用する場合、くれぐれも、金利や月々の返済額だけではなく、「返済総額を把握する」という視点を持っておきましょう。
ローンは、1度組んでしまうと長く付き合うことが多いもの。
金利の仕組みを知り、お金を貸す側のカラクリを知り、身の丈を超えない範囲で利用しましょう。
ちなみにわたしは、120万円の車を買う時に組んだローンでは、月々4万円ずつ3年間、総額で144万円支払っていました。一体、金利はいくらなのか。
答えは、10%です。
恐ろしくて、今なら絶対にこんな高金利のローンは利用しませんね……。
自己投資という言葉に惑わされない
20代の頃は、20代なりに「自己投資」として自分自身にもお金を使ってきました。それ自体は悪いことではありません。
ただし、「自己投資」と言えば聞こえはいいのですが、それを理由にお金を使おうとしていないかどうか、しっかりと考えておきたいところ。
20代になると、突然多くなるのが様々な勧誘です。早い人では、大学時代から感じてきた人も多いかもしれませんね。
その勧誘というのが、いわゆる「ネットワークビジネス」であったり、「下着や宝石の個別販売」や「自己啓発セミナー」の類。
わたしが20代だった当時、家や携帯電話に頻繁に掛かってきていました。
これらに共通していたのが「自己投資」という言葉。
保証はどこにもない。どこを信じるのかを冷静に判断する。
自己投資って、実に都合が良い言葉です。何者かになりたいと夢見る人にとってこの言葉のパワーは絶大で、その思いが強いほど惹かれてしまうのでしょう。実際、セミナー会場や販売会場には多くの人が集り、熱心に「講師」の話に、耳を傾けていました。
なかにはきちんとした良いセミナーもあるのだと思います。しかし、その見極めは難しい。
このようなちょっと怪しく感じる勧誘がきたとき、もしくは「自己投資」という言葉を聞いたとき、持つべき視点は「不安を煽られていないか」ということ。
「今のうちしかできない。」
「今、行動を起こさないと困るのは未来の自分だ。」
「自己投資は必ず自分に返ってくる。」
そう言われたとしても、その保証はどこにもありません。今のうちしかできないと言われたとしても、今すぐに決断しろという赤の他人のどこを信じたらいいのか、冷静に考えるべきです。
私がいまだに悔しいNOと言えなかったダイヤモンド
わたしは、このような言葉に乗せられて、宝石を買ったことがあります。ネットワークビジネスの話も、2度、聞きに行ったことがあります。
ネットワークビジネスに手を出すことはなかったものの、宝石は買ってしまった。とくに欲しくもないのに。話に乗せられ、しかも、ローンで買ってしまった。
あのとき、NOと言えなかった自分が、いまだに悔しい。
買ったものは、ダイヤモンドです。個室に通され、かなりのイケメン2人から延々と宝石の良さについて説明を受け、今買うべきだと説得されました。
購入のハンコを押したあとから、それまで蝶よ花よと接していたその態度が、タバコに火をつけ煙をふかしながらこちらを見ている180度変わった様は、今でもまざまざと覚えています。
20万円くらいのものでしたが、買ってしばらくは見るのもいやでした。今では開きなおって、よく身に着けていますけどね。
小粒でも、鑑定書もあるダイヤモンドなので、照明が当たれば、やはり美しく輝いてくれますから。
まずはお給料3ヶ月分をためてみよう
お金に関しての計画性は、幼少期から身につけておくべきだったと強く思います。
計画性を身につけるのにちょうど良いのは、お給料の3ヶ月分を貯めてみること。そして、そのための計画を立てること。
お給料を毎月15万円もらっているなら、45万円が目標金額になります。その45万円を貯めるために、月いくらずつ貯め、いつまでに達成するのか。計画を立て、実践することで自分の金銭感覚が養われてきます。
実は、こうした計画性を身につけることで、「ローン」や「自己投資」に惑わされるリスクが減らせます。
収入・支出・貯蓄の3つを把握し、使い道を決めて計画しておくことで身の丈にあった金銭感覚が身に着くため、お金に関して冷静に判断できるようになるからです。
お金がなかった私が、冷静さを欠いてとった行動
無知や無頓着、そしてお金がない状態は、人をさらに追い込みます。
私は若い頃、もう実家で暮らすのは嫌だからと、アパートを借りて家を飛び出したことがあります。
多額のローンに苦しんでいるのにこのような判断をするのは、明らかに冷静さを欠く行為です。
敷金礼金では、貯金の総額であった10万円を全てつぎ込みました。10万円あれば大丈夫と思っていたことを覚えています。
結果、お金がやりくりできなくなり、1年もしないうちに実家に戻ってくる始末。しかもその1年の間に、お金が足りないからと、毎月親からお金を借りていたのでまったくもって救えません。
車のローンだって終わっていないし、それなのにやっと貯めた10万円も無計画に使い果たし、その後も通帳残高は常に数百円程度の状態。仕事だって辞めたくても辞められません。毎日、お金のことばかり考えて自分を追い込んでいました。
お金がない、という状態は冷静さを失わせます。ダイヤモンドの購入もネットワークビジネスの話も、追い込まれていたこの時期のこと。
だからせめて、3ヶ月分でもいいのでゆとりを作り出し、「冷静な判断ができる状態」を作っておくことが必要なのです。
病気やケガは、年齢など関係なくやってきます。せめて3ヶ月分くらいあれば、ゆっくり休むこともできますからね。
自分の人生を自分の足で歩むためのお金の管理
若い頃にしかお金を自由に使えないーーと感じるかもしれませんが、そんなことはありません。
お金は管理と計画次第で、何歳になっても自由に使えます。むしろ、無知であるほどお金の不自由さとは切り離せないでしょう。
若いうちにハマりがちなお金の失敗を避けるために、上で紹介した3つの視点を持ち、決して欲望や誘惑に負けない対策と、貯金の計画を立てておきましょう。
さて、前の項目で、「お金貯めておくことで冷静に判断できる」という話をしましたが、それは何歳になっても言えることかもしれません。
わたしはそろそろ40歳になりますが、このくらいの歳になると、「誰々が離婚した。」という話も多く伝わってきます。
どのような形で離婚を迎えるにしろ、率直な話、自分のお金さえあれば冷静に今後を考えることができるーーということもまた、多く耳にします。
夢のない話だと、20代の頃のわたしが聞いたら思っていることでしょうが、今なら「そうだよなぁ」と思ってしまいます。
お金に振り回されない人生を歩むためにも、お金を知っておくことーーそれが、どのようなときでも、人生を自分の手で動かすための、1つの対策なのかもしれませんね。