「秘書に興味があるけど初めてでも挑戦できるかな?」
「秘書になるなら尊敬できる上司のもとで働きたい!」
秘書という職業にこんな憧れを持っている人も多いと思いますが、なかなか周囲に秘書経験者がおらず、生の声が聞けない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、社長付き秘書とグループセクレタリーを経験した秘書経験者の私が、秘書を目指し転職を考えている人に役に立つ情報をお届けしたいと思います。
ぜひ参考にして、役立ててみてくださいね。
気になる!秘書の前職は?
私の経験した職場では、空港会社のグランドスタッフやCA、受付業務など人と関わる仕事から転職をしてきた人が目立ちました。
これらの職種に共通して言えることは
・人前に出ることに慣れていること
・最低限の身だしなみやマナーが身についていること
でしょう。
秘書は会社の黒子的存在ですが、お客様が初めて接触するその会社の人物、言わば「会社の顔」なので、上記の様な適正が求められます。
ですので、接客業やサービス業の経験者は転職の際に有利に働く可能性があります。
また、営業事務などサポート的な業務経験も、秘書業務の性質と似ているので大きなアピールポイントになります。
秘書は社内外の多くの人と関わる仕事なので、総務部など他部署と関わりの多い部署で働いた経験も強みになるでしょう。
この様に、転職の際は「前職業務」と「秘書業務」の”共通点”を強調してアピールするのがポイントです。
確かに、華やかな職業であれば有利な可能性は否定できませんが、必ずしもそうとは限りませんよ。
未経験が強みになる?
前職も秘書という人は、当然即戦力として活躍が期待できるので有利ですが、むしろ未経験者が優遇される場合も多くあります。
なぜならば、もし秘書経験者であれば「前の上司はこんな指示の出し方はしなかった」など前職の仕事のやり方に強くこだわってしまう恐れがあるからです。
それは経営者側からすれば大変都合の悪いことです。
それならばあえてまっさらな状態の新人を秘書にして、自分の色に染めてしまおうという発想が未経験歓迎の意図なのです。
秘書は例え経験がなくても「清潔感があって気持ちの良い対応ができる人」であれば誰でもチャレンジできる職種です。
未経験者でも臆さずに挑戦してみましょう!
『秘書検定』取得は絶対必要?
秘書検定は必須ではありませんが、2級以上を持っていると応募の際選択肢が広がります。
必須条件として求人票に提示している場合は、2級からの場合が多いからです。
しかし実際は、秘書検定取得を必須条件にしていない秘書の求人はとても多く、特に「未経験者歓迎」の場合は検定の有無を問わない場合が大半です。
実は私が秘書に転職した際も秘書検定を持っていませんでしたが、「秘書業務のいろは」を学ぶ必要性を感じたので働きながら資格を取得しました。
秘書に転職後、受験しなくとも必ず検定の勉強はした方が業務の役に立つので、予め取得しておくととても強みになるでしょう。
元秘書が教える 絶対に避けるべき会社の特徴
秘書に転職しよう!と決意が固まったら、いよいよ会社選びの開始です。
秘書職に限らず、せっかく転職するのならば長くその職場で頑張りたいと思いますよね。
苦労の末に内定を勝ち取り、いざ入社してみたら「こんなはずじゃなかった!」なんてことは絶対に避けたいものです。
そこでわたしの実体験をもとに、社長秘書に転職する場合を想定して、面接段階で見抜きたい「地雷ポイント」ご紹介したいと思います。
あくまでも主観による意見なので参考程度に見ていただければ幸いです。
こんな応接室や社長室は要注意!
面接者やお客様が通される応接室や社長室では、その会社のカラーをある程度読み取ることができます。
と言いますのも、部外者に向けて語らずとも自社のカラーを発信できる場であるからです。面接の際はぜひ部屋の特徴を観察してみて下さい。
では、わたしが以前社長秘書をしていた会社の会長室を例に出して、地雷ポイントをお伝えします。
その会社の社長室は、部屋の中央に重厚感漂う大きな机と革張りの椅子、それにふかふかの赤いじゅうたん。金庫の上には芸能人のサイン色紙が飾られています。
会長とタカラジェンヌとのツーショット写真の隣には、高価な伊万里焼の大皿、その横にはロココ調の花瓶に大輪のバラの花が飾られていました。
袖机にはゴルフのトロフィーや頂き物の洋酒数本が無造作に並ぶ・・・
一見ドラマに出て来るような「エライ人の部屋」ですが、ちょっと想像してみてください。
個々の調度品の系統がバラバラで無秩序な感じがしませんか?
例えば伊万里焼もロココ調の花瓶も高価なものには違いありませんが、それらを並べて飾るとちぐはぐな感じがします。
そしてモノが多くスッキリ感がありませんよね。
会社の経営状態は社長室の特徴と一致します。
この「調和がとれていない・モノが多い」社長室を持つ会社。
社長室同様「系統バラバラ・数が多い」事業を展開していました。
メインの不動産事業に加え、保育園事業、カフェ、美容医療など系統がバラバラのビジネスを次々と増やしていたのです。
社長はひとつの事業に注力できずその事業の業績は当然低迷。手をかけられなくなった事業は更に低空飛行を続けいつの間にか消滅・・・といったパターンを繰り返していました。
この様に色々な事業に手を出せばそのひとつひとつに経営者の目が届かなくなる可能性があります。
散漫運営を続ける会社の将来が明るいとは考えられません。
ファミレスでもないのに「ハンバーグもうどんもチャーハンもあります!」とメニューは豊富でも味はどれも・・・といったお店が、イマイチ流行らないのと似ています。
転職活動中にこの様な「調和がとれていない・モノが多い」応接室や社長室に通されたらば、会社の経営状態を疑った方が良さそうです。
ぜひ業績の安定した会社で秘書を目指しましょう!
また、一目でわかる高価な調度品や誰もが知っている芸能人のサインから経営者の権威を主張したい意図が伺えます。
この様な社長室を持つ経営者は、立派な学歴や容姿を判断基準として秘書を採用します。
毎日に一緒に働くパートナーを選ぶのですから本来重視すべきは人柄や仕事のスキルです。
タカラジェンヌのとのツーショット写真など完全に経営者の趣味の私物を職場に持ち込むタイプは公私混合型です。仕事とプライベートが分けられないため、秘書はプライベートの雑用の割合が高いと考えて良いでしょう。
実際この会社での秘書業務は、社長のプライベートの業務が半分くらい占めていました。
こんな社長は要注意!
いよいよ最終面接。面接官として社長が登場します。
面接の際、雄弁に自社の羽振りの良さをアピールする社長が意外なほど多いのです。
しかし不思議なことに、絶好調をアピールする会社ほど経営はうまくいってない場合が少なくありません。
本当に経営がうまくいっているのならばわざわざ部外者に景気の良さをアピールする必要はないからと考えられます。
面接時に「高級車を持っている」「有名政治家と飲んだ」など権威を延々と語る経営者もいました。
ちなみにその社長はポルシェとランボルギーニで通勤していました。合理性や客観性のなさは厳しい判断が迫られることが多い経営者として致命的に感じられます。
おごりがなく尊敬できる上司のもとで働くために真っ先に避けたいタイプです!
こんな先輩秘書は要注意!
次に注目すべきは秘書の人数です。
例えば社長秘書の場合、配置される秘書の人数は基本的に1人、多くて2人が一般的です。
もし秘書が3人以上であれば、その社長にとって秘書は女性をはべらせたいだけのお飾り要因の可能性が高くなります。
更にその秘書が比較的若ければそう考えて間違いないでしょう。
成功者の象徴として若い秘書をゾロゾロ引き連れて練り歩きたいだけです。
ちなみにわたしが勤めていたい会社では、わたしを含め社長秘書がなんと5人もいました。
もちろん5人で分業するほどの業務があったわけでもありません。
更に秘書の入れ替わりも非常に激しく、試用期間空け早々に退職した人もいれば、急に社長に解雇された人もいました。
所詮お飾り要因ですから当然仕事のやりがいもなく、とっかえひっかえモノ扱いされるので秘書が定着しないのも頷けます。経営者としてのモラルに問題がある可能性があり、またコスト意識がない経営者だと考えられますのでご注意下さい。
逆に、長く勤務しているベテラン秘書が取り仕切っている会社はホワイト率が高く、転職を考えるのにお勧めです。
先輩を参考にして、キャリアプランが描きやすいからです。
秘書の人数や年齢については、転職仲介会社の担当者に聞けば教えていただけます。
ぜひ参考に聞いてみてくださいね。
こんな社長のもとで働きたい!
以上転職する際気にするべきポイントをご紹介しました。
次はわたしが今まで出会った「この人の秘書でよかった!」「尊敬できる!」と思った社長の特徴をお伝えしたいと思います。
転職の際こんな社長に出会ったらアタリの可能性が高いとお考え下さい。
秘書とデスクを並べて仕事をする社長
オフィスから離れた最上階のフロアに構えられた立派な社長室・・・
ではなく、平机のお誕生日席にデスクを構える社長の秘書をしたことがあります。
秘書の私は社長の横の席で仕事をしていました。
当初、社長と同じ空間で働くことに違和感を感じましたが、働くうちにそのメリットがわかりました。
デスクの近さが心の近さだったのです。
社長室を持つ会社の場合、社員は社長に用がある時、いちいちエレベーターで社長室まで行く必要があります。
小さいミスなどがあった場合、わざわざ社長室まで訪ねる足が重く「明日でまぁいいか」とつい先延ばししてしまう場面がありました。
物理的な隔たりは心理にも影響すると言えます。
しかし、社長が社員と同じフロアで働く場合はどうでしょう。
社員は何か問題があればすぐに社長に報告ができ、社長も社員の業務工程を良く把握できていました。
また、社長に「頑張っているね!」と声掛けしていただくこともありました。
この様に自分の頑張る姿を社長に見てもらえるメリットもあります。
逆に社長の頑張る姿も見えるので、ピリッとした緊張感と「社長と一緒に会社を盛り上げていこう!」という一体感が生まれます。
「普通っぽい社長」がいる会社は堅実経営
いかにも社長風ではないベンチャー企業の社長とお仕事したことがあります。
地味社長は、一見羽振りが良さそうに見えませんが会社の経営状態も安定しており秘書としては働きやすい社長のサインだと言えるでしょう。
この社長が本当に謙虚で社長風を吹かさず、自分に落ち度があれば秘書にも謝ってくれる人でした。
風貌や態度に威圧感がないので変な緊張感を持たずに小さなミスも報告しやすく、とても良い関係が築けた社長の一人です。
ミスが小さいうちに上司に報告できると、いろいろなことがスムーズになります。
そのような会社はとても良い社風を築いていることも多かったので、これもまた一つの会社選びの参考にするべきことでしょう。
いかがでしたでしょうか。
社長秘書と言うとどこか遠くの仕事のように思われたかも知れませんが、頑張り次第で誰でもできる職業なのです。
ぜひ頑張って、チャレンジしてみてくささいね!
プロフィール
梅沢博香
地方都市に暮らす時々ライターの専業主婦。
経験を生かして主に婚活・転職関係の記事を執筆中。
モノの少ない家に憧れ週一で断捨離しています。最近興味があることは肌断食と縄跳び。