副業や複業が政府から推奨される昨今。
「会社にはストレスが多いので家で仕事がしたい」
「好きな時間に好きな場所で働きたい」と思い、フリーランスという働き方に憧れる女性も多いのではないでしょうか。
確かに、会社のストレスからは解放され、好きなスケジュールで過ごせるフリーランスは魅力的です。
しかしその一方で、スケジュール管理から仕事を獲得するための営業、税金の支払いなど全てを自分一人でこなしていくことは、とても大変です。
そこで、この記事では、個人的な体験ではありますが、何のスキルもない状態で独立し、通帳残高が500円になりながらも何とか人並みに生活できるまで生き延びることができた私の体験談をご紹介します。
自由で楽しそうに見えるフリーランス生活の大変さと魅力をお話ししたいと思います。
自己紹介
私は大学4年生の頃に「自分の性格を考えると、組織に所属して働くのは難しいのではないか」「週5日、毎日8時間以上働くと体調を崩すのではないか」と不安に感じ、フリーランスとして生きたいと思うようになりました。
そう考えたのは2017年、大学4年生の夏ごろです。
はじめはブログで生計を立てようと考えていましたが、なかなか結果が出ず、挫折。
ちょうどその頃「WEBライター」という職業を知り、2018年2月の大学卒業直前にライター業をはじめました。
スキルやコネのない状態で独立したため、仕事もお金ももちろんありません。
「普通に一人暮らしをするにはお金が足りない」と危機感を感じ、生きていく固定費を下げるために千葉県の田舎に移住しました。
それから1年経った現在は、WEBライティングやブログ、ライティングの講師などをしながら、なんとか田舎で暮らしています。
では、スキルやコネのない状態でフリーランスの道を選ぶと、どのようなことが起こるのでしょうか。
独立当初
今振り返ると恥ずかしいエピソードばかりです。
当時の私の通帳残高はいつも数百円でした。
ATMでお金を下ろすことすらできず、「私は何をしているんだろう」「普通に就職すべきだったんじゃないか」と、フリーランス生活に不安を抱くようになります。
シェアハウスの6畳間に友達と住み、家賃を1万2,500円に抑える
お金の無かった私は、できるだけ家賃を安く抑えたいと考えました。
築80年の古民家シェアハウスなら家賃2万5,000円で借りられると聞き、そのシェアハウスに入居。ちょうど「一緒に住みたい」という友達がいたため、6畳間を2人で借りました。
結果、家賃は月1万2,500円。
家賃1万2,500円なんて、まずあり得ないですよね。
都心のマンションに入居すると1ヶ月10万円ほどかかってしまいますから、1万2,500円は破格です。
6畳間での2人暮らしは窮屈でプライバシーも無く大変でしたが、今ではネタになるのでいい思い出です。
クレジットカードの引き落としが不可能に
収入が0円でもクレジットカードの分割払いは続きます。
「引き落としを数日待ってほしい」とクレジットカード会社に電話をすればいいものの、怖くて放置。「引き落とし不可」のハガキが送られてくる始末です。
本当にだらしないですね。
なんとかすぐにお金を用意して切り抜けましたが、「ブラックリストに載ってしまうのではないか」と恐怖でした。
シェアハウスの外に生えている野草を食べる
食費の節約のため、庭の植物を食べました。「野草」「山菜」と呼ばれるものたちです。
幸いなことに、シェアハウスの庭にはふきのとうやふき、よもぎ、エンドウマメ、キンカン、イタドリなどが生えていたのです。
処理が面倒でしたが、「時間はあるけどお金がない」私にとっては問題なし。
特にふきは美味しかったので、積極的にご飯のおかずにしていました。
このように、家賃を極限まで下げ、食費を切り詰め、生きるというより「生き延びる」「死なないように気をつける」といった生活をしていたのが独立1年目のお話です。
独立1年目の失敗談
ただ貧困だけだったわけではなく、さらなる失敗を重ねています。
失敗談を5つご紹介します。
貯金が全くないので毎月ハラハラ
預貯金0円で独立した私。
スキルやコネもないのに、初月から毎月10万円以上稼がないと死んでしまう状態です。
シェアハウスの友達に「ご飯作るから1ヶ月分の食費の援助をしてほしい」とお願いし、生き延びました。
快く「いいよ」と返事をしてくれた友達には一生感謝し続けます。
数年間は無収入でも生きられるだけの預貯金を用意する、保険や株など現金化できる金融商品を用意しておく、仕事をくれるクライアントさんを確保しておくなど下準備を徹底してから独立すべきだった痛感しました。
そうでなければ「生活ができない」という状態になりかねません。
もっとも、それが一番難しいことで、当時の私にできるはずも無かったことではあるのですが。
税金の知識が無いため、危うく損するところだった
保険料、年金、確定申告について何も分からない状態で独立しました。
知識がないと損するのはもちろん、場合によっては延滞金を請求されたり、罰せられたりすることもあります。
知らないせいで余計なお金を支払うのは誰だって嫌ですよね。
例えば私の場合は下記のことがありました。
■ 保険料
年度はじめに役所で申請したところ、保険料が7割減になりました。
結果的に年間の保険料は約13,000円に。
これほど保険料が減額になった理由は、前年度の所得が低かったためです。
私は前年度まで学生だったため、「支払う能力が低い」と認定されて減額されたのです。
■ 年金
申請したら免除になりました。こちらも前年度の所得が低かったためです。
■ 確定申告
申告することで、還付金としてお金が戻ってきます。
企業とやりとりをした場合、報酬から所得税が源泉徴収されていることが多いです。
余分に支払った所得税分が戻ってきますので、きちんと申請することにより税金面で損をせずに済みます。
フリーランスとして稼ぎの多い友達は、数十万円が還付金として戻ってきました。
逆に言えば、申請しないと数十万円損します。
また、「確定申告をしていませんよ。申告と延滞金の支払いをしてください」という通知が来てしまいます。
保険料や税金、確定申告の知識があれば余分なお金を支払わずに済みます。
公共の手続きには申請期限もありますので、独立前に期間や条件を把握しておきましょう。
人とのコミュニケーションが減って、精神的に辛くなる
職種にもよりますが、1日中誰とも会話せずに仕事をすることもあります。
私は人とコミュニケーションを取ることが苦手だったので「一人は気楽!フリーランスになったら家で一人きりで作業できる!」とわくわくしていました。
しかし、実際にシェアハウスの個室で一人きりで作業していると、仕事へのモチベーションが下がっていきます。雑談する相手もいなく、なんとなく気分がふさぎがちに。
私の場合は近くにフリーランスが集うコワーキングスペースがあったので、なんとか気持ちを立て直しました。そのような場所がなかったら今頃どうなっていたのか不安でなりません。
フリーランスとして生きると、孤独から精神的な辛さが襲ってくる可能性があります。
同業の人が集まるコミュニティに所属したり、すぐに会える友達のいる場所に住んだり、孤立しないよう工夫すべきだと感じます。
楽な生活に甘えて、勉強や自己投資を怠ってしまった
ある程度稼げるようになった時、「安定してきた。これが続くといいなぁ」と考えるようになり、新しいジャンルの勉強や新規営業をストップしました。
そしたら継続の案件がなくなり、突然「仕事がない」状態に。
安定した時こそ次のステージを見据えて新規営業をし、将来に備えておくべきだったと猛反省。
現状維持をするにも工夫が必要で、何もしないとどんどん落ちていくと痛感しました。
会社であれば自動的に仕事がもらえますが、フリーランスの場合は本当に仕事がなくなり、収入が途絶えるのです。
ビジネスマナーが分からない
大学卒業後すぐにフリーランスになったので、社会の常識が分かりませんでした。
Googleでビジネスマナーを検索してはメールを作成し、なんとかしのぐ日々。
フリーランスには営業はつきものですから、自由と言えども「常識」が必要なのです。
ある程度の社会人経験を積んでから独立するか、独立前からいろいろな集まりに顔を出して「ビジネスマンの空気感」に慣れておくべきだったと思います。
それでも「独立して良かった」と思える点
失敗もありましたが、1年経った今では「独立してよかった」と感じることも増えてきました。
好きな時に好きなだけ旅行に行ける
パソコンさえあれば、移動しながらでも仕事ができます。
そのため、仕事に合わせて旅行の日程を考える必要がないのです。
行きたいと思った時に行きたい場所へ出かけられることがフリーランスの嬉しいところですね。
航空券が安い時期に旅行することもできるため、土日や大型連休、世間の長期休暇を避けた旅行が可能です。混んでいませんし、宿泊料も安く済みます。
また私はいつでもスケジュールを調整できるため、パートナーや友達に予定を合わせることができます。
仕事を優先してプライベートがおろそかになる・・・ということがありません。
実際に、先日は1週間かけて四国中国地方を旅行してきました。
平日に出発したため航空券は往復1万円。
ポケットWi-Fiを持ち歩いているので移動中の車内でも作業可能。
駅にいるスーツ姿の会社員を見ては「なんて私は自由なんだろう」と感じました。
旅行好きの方やなるべく安く旅行をしたい方は、フリーランスとして独立すると旅行がしやすくなります。
「移動しながら仕事」「いつでも好きな場所へ」を叶えたい方には独立がおすすめです。
体調が悪い時はゆっくり休める
私は生理痛が重く、生理前から生理3日目くらいまでは動くのも辛いレベルです。
そのため、生理の期間はあらかじめ仕事をしない前提で予定を組んでいます。
生理中に記事の納期が重なっている場合は1週間以上早く納品するので問題ないのです。
体調不良で休んでも誰にも迷惑をかけないので、身体の弱い人にはフリーランスが向いています。
収入を増やしたい時は増やせるし、休みがほしい時は休める
収入を増やしたい時は仕事を多めに受注すると収入が増えますし、セーブしたい時は抑えることができます。
忙しさや収入を自分で調整できるので、プライベート重視の快適な生活がしやすいです。
例えば「4月は支出が多いのでたくさん稼ぎたいけど、5月は旅行に行くので仕事をセーブしたい」という場合、4月は40万円分の案件を受注して、5月は20万円分に抑えることができます。
組織に所属していると、収入も休みも自分では決められませんよね。
フリーランスの場合はスケジュールや休みを自分で決められます。
嫌いな人と関わらなくてもよい
フリーランスは基本的に一人または好きな人と一緒に仕事ができますので、苦手な人や性格の合わない人と無理やり関わる必要がないのです。
また、気が合わないクライアントさんとは1回仕事をしたらさよならできます。
例えば私の場合、「ものすごく高圧的なクライアントさん」に出会ったことがありました。
このクライアントさんとは取引を一度でやめました。
組織で働く場合は高圧的な上司がいても逃げることはできませんよね。
一方、フリーランスであれば気が合わない人とは関わらずに済むのです。
誰しも苦手な人とは仕事したくないですよね。
独立すると人間関係を自分好みに調節できるのです。
「好きな人と気持ちよく仕事がしたい」という方は、独立も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
最後に
フリーランスは全てを自分で決められますので、「スケジュールを自分で決めたい」「好きな人とだけ働きたい」「収入を自分の裁量で増やしたい」という方にはおすすめです。
ただし、私のように見切り発車で挑戦すべきものではありません。
当面は生きられるだけの預貯金を用意して、保険や税金関係の知識を身につけ、ある程度は事業が軌道に乗ってから独立することをおすすめします。
働き方が変化しつつある現代ですが、「自分は何を大切にして生きたいか」をよく考えて、自分なりのスタイルを見つけていきたいものです。
ライタープロフィール
ななさま
94年生まれのライター/思想家/詩人。
千葉大学卒業後、新卒でフリーランスとして独立。
固定費を下げてのんびり田舎暮らしをするために千葉の房総に移住しました。
少ないお金で豊かに生きる方法、文章を書いて生活する方法を模索中。