女性がフリーランスをする3つのメリットと3つのデメリット

女性の社会進出や働き方改革などの影響で、働き方の選択肢が少しずつ増えています。
そんななか、とくに注目されているのが、「フリーランス」。


時間や場所にとらわれずに働けるフリーランスは、結婚・出産などで一旦仕事から離れた、もしくは離れる可能性が高い女性にとってはとくに、魅力的に映ります。

実際、女性がフリーランスとして働くというのはどういうことなのでしょうか。
フリーランスウェブライターとして3年弱働いているわたしが、そのメリットとデメリットをそれぞれ考えてみました。

主婦がレシピ本出版で「フリーランス」として大活躍

最近、フリーランスとして活躍する女性を見る機会が増えましたよね。
代表的なのが、お料理ブログで有名になり、レシピ本を出す人たち。
いまではテレビ出演を果たす人も多くいます。

趣味の刺繍や編み物をネットで販売し、そこからワークショップを開催、トークショーに呼ばれて出版・・・なんて道を切り拓く人も。

「女性の社会進出」とはいっても、女性は結婚や出産というライフステージの変化によってキャリアアップがむずかしくなったり、育児のために一旦退職し復職できなかったりすることもあります。また、家事や育児を優先しつつ自分でもお金を稼ぎたい、という人もいるでしょう。

そんな人にとって魅力的に思える「フリーランス」という働き方のメリットとデメリットを、それぞれ3つ紹介します。

女性がフリーランスになる3つのメリット

「共感」で活躍する身近な女性フリーランスたち

フリーランスとして働く女性の強みは、ターゲット層から共感されやすいところです。

「家庭料理」「片付け方法」「掃除のコツ」「インテリアのアドバイス」「ヘアメイク解説」など、女性がメインターゲットの分野では、多くの女性フリーランスが活躍しています。同じ女性だから、同じ立場だから。だからこそ具体的でリアリティがある提案ができる。

youtubeの動画や美容ブログでも、プチプラコスメを使ったメイクや家でできる簡単な筋トレなど、ターゲット層の需要をよく理解したコンテンツを高いクオリティで発信している人は、やはり人気があります。

「フリーランス」というとハードルが高く感じるかもしれませんが、特別なスキルがなくとも、むしろ平凡だからこそ、仕事につながることも多いのです。とくに女性は、「共感」によってビジネスができる可能性が高いといえます。

仕事と育児の両立のためにフリーランスを選ぶ人も

この前、フリーランスのヘアメイクアーティストの女性の方とお話したとき、「仕事と育児の時間を自分で割振れるのがメリット」とおっしゃっていました。

フルタイムで企業勤めはむずかしい、でも育児をしながらも働きたい。そんなとき、自分のペースで自宅で働けるフリーランスは、かなり魅力的です。

実際、ウェブライターのように特殊なスキルが必要のない職種では、ママさんライターが多く活躍しています(はじめるハードルが低い、というだけで、だれにでもできる仕事、というわけではありませんが)。
最近ではオンラインプログラミング講座が増えているので、独学で勉強してフリーランスプログラマーとして活躍する女性もいます。

希望すれば育児中の女性も企業で働ける、というのが理想ではありますが、現実的にむずかしいこともありますよね。そんなとき、自分で時間管理しやすいというのは、フリーランスになる大きなメリットです。

キャリア継続のためにフリーとして仕事を受注

また、キャリアを諦めたくない、それでも仕事復帰がむずかしい、という場合、フリーランスで少しずつ仕事をこなしていく、というのはおおいにアリです。
事実、前職の経験を活かして仕事をしている女性フリーランスは多くいます。

デザイン系の仕事をしていたのなら、ポートフォリオを作って営業をして仕事をもらえば立派なフリーランスデザイナーです。動画編集やフォトグラファーのようなクリエイティブな分野はもちろん、メディアディレクション、コンサルティングなど、企業で経験を積んでから独立する人が多い職種もあります。

すでに職歴があればフリーとして仕事を得るハードルも下がりますし、将来的に再就職を考えているのであれば、フリーランスとしての経験がキャリアアップのきっかけになるかもしれません。

フリーランスという働き方は、ライフステージの変化で持て余したスキルを有効活用しやすいのです。

女性フリーランスが気をつけるべき3つのこと

ブラッククライアント、ハラスメントから自分を守る

その一方で、女性だから気をつけるべきこと、知っておいた方がいいこともあります。

まず、フリーランスというのは、不安定な働き方です。
企業同士の仕事であればまず起こらないような報酬未払い、連絡が途絶えて音信不通、なんてことも起こり得ます(残念なことに経験済み)。
しかもフリーランスは、それを自力で解決しないといけません。

女性であればさらに、セクハラ、パワハラなどに遭う可能性が高くなります。
わたしはそういうことはなかったのですが、「打ち合わせがいつも夜で酒の席」「仕事と引き換えに男女の関係を迫られた」という話はたまに聞きます。
なぜか打ち合わせが自宅、なんてことも。

フリーランスは人脈が仕事につながりやすいので、なおさら予期せぬトラブルに発展することもあります。断るのが苦手、流されやすい、交渉や抗議が苦手、となると、苦労するかもしれません。

子どもがほしい女性は産休・育休がないことに要注意

メリットの部分で、「育児と仕事の時間を自分でコントロールしやすい」と書きましたが、その一方で、休職手当や産休、育休がないということも考慮する必要があります。

妊娠してつわりがひどい→仕事を断る→そのまま縁が切れる→気づいたら仕事がなにもない……なんてこともありえます。フリーランスは仕事がなければ無収入なので、働けなくなるリスクは常に考えておくべきです。

とくに、妊娠・出産を希望し、実際に子どもを授かることができた場合、働くのがむずかしい期間が発生します。その前に計画的に「収入」と向き合っておかないと、思わぬ落とし穴が待っているかもしれません。
固定収入が入る仕組みを整えておいたり、事情を理解してくれるクライアントとの信頼関係を築いておいたりと、自分なりのリスクヘッジをしておいたほうが安心です。

夫の収入を追い抜いても仲良くやっていけますか?

また、「フリーランスとしてうっかり大成功、パートナーの収入を追い抜いて関係がうまくいかなくなる」という話もちらほら聞きました。「育児の片手間にはじめた仕事だったのに、いまでは女性のほうがワーカーホリック」なんてことも。

もちろん、応援して支えてくれる人もたくさんいます。
世帯収入が増えたことで、「いっしょに贅沢温泉旅行に行こう!」なんて話になるかもしれません。

しかしその一方で、劣等感を感じる人もいます。
「毎日会社でしんどい思いをしながら働いているのに、家でちょっと作業してる彼女に負けるなんて・・・」というように。

相手がきちんと理解してくれるのが一番いいのですが、そうもいかないのが人間関係。
フリーランスはいつでも働けるぶん常に仕事モードになりがちですが、ちゃんと休みを作って一緒にどこかに出かけたり、言葉でのコミュニケーションを欠かさないようにしたり、という気持ちは忘れないようにしたいものです。

だれにとっても思いやりは大事なことではありますが、「フリーランス」という働き方の認識がそれぞれちがうこともあるので、溝が深まる前に話し合い、理解しあう努力は心がけておいたほうがいいでしょう。

フリーランスという選択肢があれば人生の幅が広がる


フリーランスは自由度が高いぶん、すべてが自己責任。
いい面もあればもちろん、気をつけるべきこと、考慮すべきこともあります。

客観的にメリットやデメリット、自分の向き不向きを考えて、「自分はフリーランスという働き方があっているのか」を考えたうえで、選択肢のひとつとして頭の片隅においておくことをおすすめします。

ライタープロフィール

雨宮 紫苑
91年生まれ、ドイツ在住フリーライター。
Yahoo!ニュースや東洋経済オンライン、ハフィントンポストに寄稿。
ブログ「雨宮の迷走ニュース」運営。
著書「日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち」(新潮新書)